糖尿病網膜症は、糖尿病になった場合に主たる合併症として発症する病気です。
糖尿病になると血液の中の血糖があがり、砂糖飴のようなシロップ状のドロドロした血液になります。毛細血管の中で血液が非常に流れにくくなってしまい、血管がつまって出血します。
毛細血管が体の中で非常に集中して多いところが3ヶ所(腎臓、神経組織、眼の網膜)あり、糖尿病になるとこの3ヶ所は「三大合併症」と言われ発生頻度が高い慢性疾患です。
※血糖値が200を超える、HbA1cが7.0以上で5年~10年経過すると網膜症の発症している確率が高くなります。
目の奥には、「網膜」と言われるカメラのフィルムと同じような役割を持つ部分があり、ここに多くの毛細血管が広がっています。糖分が多く粘度の高い血液では、血管への負担も大きく、詰まりやすくなります。詰まった血管からは出血しやすい新生血管が現われて、眼底出血や硝子体出血などの網膜症になります。
出血した場合、しばらくすれば吸収されますが、出血にごりの為に視力低下をおこします。
また、出血の後に増殖膜が形成され、その膜が縮むと網膜剥離をおこし、失明に繋がる事があります。
単純網膜症の場合は内科的な血糖のコントロールが重要ですが、病状が進行し、眼底出血等が発症してくる状態になるとレーザー治療によって、新生血管の発生を防ぎます。(レーザー光凝固術)糖尿病黄斑浮腫の状態になると、硝子体内注射によって浮腫を抑える治療法が主流になっています。(抗VEFG薬)硝子体手術の前に抗VEFG注射を行い、治らない場合硝子体手術になります。
外科的手術として硝子体手術を行います。
硝子体を切除したり、眼内でのレーザー治療を行う器械を用いて網膜症の治療を行います。
網膜症は自覚症状が無く、本人の気がつかない内に進行する病気です。
糖尿病の治療が良好でも、罹病期間が長くなると発症してくるので眼科で定期検査を受けるのはとても大事です。早いうちに適切な治療をすれば、糖尿病網膜症の進行を抑える事ができます。
糖尿病網膜症は自覚症状がでてきた場合、視力が落ちて見にくくなったときには、かなり網膜症が進行しています。早期発見をして適切な治療が必要です。